遺伝記/2008 総評 (戦績表最終版)
遺伝記/2008の全審査結果に基づき、以下のように戦績表及びランキングを公開します。
最終戦績表
総評 2008年度遺伝記ランキングは、右記のように、
恐怖箱では、これまでに実話怪談を広く求め、発表する支援を行ってきましたが、実話とされるものが恐怖を感じる対象にはならない人も少なからずいます。むしろ、実話怪談に恐怖を求めていることを広く宣言できる人のほうが、実は少数派なのかもしれません。 次に、前と同じかそれ以上になることは常に約束されているわけではなく、努力の結果後退してしまうことも珍しいことではありません。
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順位策定趣旨 遺伝記は恐怖箱では初の試みとなる恐怖小説著者を発掘する大会として位置づけられています。超-1を実話怪談のみに限定することで生じた別の需要について、体験者が実在することが前提の実話怪談とははっきり線引きをした、体験者が実在しない恐怖小説の枠組みを用意した上で応えよう、というものです。 作品事のネタの好悪、文章力・構成力などの優劣については、読者による特定作者への思い入れ/贔屓目/色眼鏡を極力廃するため、作品公開時に作者名を公開しない匿名公開制を採っています。 その上で、遺伝記の目的は「無限連鎖する恐怖小説群」の練成と、究極的な目的は「商業的に恐怖小説を書く能力がある著者の発掘」となります。 第一回となる本年は、事前の企画周知がほとんどない状態で開催されましたが、応募総数は318話に及び、恐怖小説を書きたいという作者群に高い執筆意欲があることが確認できました。 単純に「準備万端整えて仕上げたいいものを並べて出来を競い、ごく少数の審査委員の好みに合ったものが選ばれる」という企画は、過去多くの機会に行われてきました。そうした企画の中から傑作や傑物が見出されてきたわけですが、遺伝記ではそうしたものとはまた別の角度から「もの書く人」を見出したいと考え、今次の企画開催の運びとなりました。
遺伝記には幾つかの目論見がありますが、遺伝記を成立させるに足り得る資質=作者が「商業的な小説家として身を立てていくのに最低限必要な資質」という前提に立っています。
多くの作品公募企画では、こうした資質を予め備えた人材の上澄みをすくうことを目的としています。そうした資質はあって当然、言われなくても条件は満たせて当然、その上でおもしろいものが書けなければいけないわけですから、当然門は狭くなります。 アイデアが一作で枯渇してしまっては、文章力が生かせません。 何度も繰り返しますが、遺伝記という企画は「商業的に執筆する意志と能力のある人材を発掘する」という究極目的を孕んでいます。 審査結果は、以上を踏まえた上で策定されました。 |
順位策定ルール 遺伝記のランキング策定の原本データは、作者名を伏せて公開された個々の作品に対する評価となっています。 以下に、順位策定ルールを説明させていただきます。
今回の全応募作品の獲得総合点を加減算すると、6434点になります。これを、応募総数318作で割った数値20.23点を、便宜上「偏差基準値」とします。 獲得総合点6434点÷応募総数318作=偏差基準値20.23点 小数点以下を切り上げて、偏差基準値を21点とします。 全応募作318作のうち、21点以上を獲得した151作を、偏差基準値以上を獲得した有効作品とします。この時点で21点に届かなかった167作品は、読者(審査員)に求められる一定の品質に届かなかった、ということになります。 以上を踏まえて、作者(応募者)を3つのグループに分類します。
Aグループは「読者に求められた一定の品質を持つ作品を、複数作以上完成させている」つまり、良作の量産が可能であることを実証した作者群、となります。 個々の応募者について、講評によるボーナス&ペナルティを加味した次の公式で個々の偏差点を算出します。 個々の応募者ごとの有効作品の獲得合計点÷有効作品数×講評によるボーナス&ペナルティ(BP補正率)=A偏差点(BP) A〜Bグループは、A偏差点(BP)の数値が大きい順に「良作を量産できた作者」として順位を決定します。 遺伝記に限った話ではありませんが、商業的な執筆機会にあっては、作品にはアイデアの意外性や文章の完成度以外に、信頼性(安定した品質、速さ)が求められる場合が多くあります。 将来、この中から次の機会に進む人々が選ばれることもあるかと思います。もちろん、来年以降の恐怖箱では、そうした機会創出を目指していきたいと考えています。
※なお、公式スタート前後に投下された種作品とその作者も、一般応募作品同様、審査対象となっています。ただし、企画主催者のものについては参考値扱いとさせていただきました。 |
個別作品順ランキング
(作者名同定版)
ボーナス&ペナルティ(BP補正値)について |
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戦績表にある講評達成率は、全応募者によって行われた「コメント講評」または「blogからのトラックバック講評」を、エントリーNo.別に分けたものです。 基本的に、エントリーblogのログを基準として集計・検査を行っています。このため、エラーの救済については以下のようになっています。 トラックバック講評のうち、「本文中の点数と、見出しに書かれた【点数】が違っていた」場合、本人から訂正する再トラックバックがない限り、「見出しに書かれた【点数】」を最終確定点としています。ログに集計検査対象として記録されるのはこちらだからです。 トラックバック講評のうち、「トラックバックはされていたが、トラックバック先が間違っていた」ものについては、気付いた限り訂正して、正しい作品へ接続し直して救済していますのでセーフですが、気付かなかったものについては漏れる可能性があります。 同じくトラックバック講評のうち、「自blogで講評が行われていたが、トラックバックがされていなかった」という場合については、エントリーblogのログ側で発見できずカウントできないため、講評は無効としてあります。 コメント講評のうち、講評のないNA投票(訂正、補足、既に行った講評の説明のみなど)は講評と見なされないため、基本的に無効扱いになっています。 |
ただし、「本文中に点数があるが、点数が選択されていなかった(NA)」ものについては、講評配点の意志ありと見なして、一律で【0】点の配点としました。 コメントで講評が重複して行われたもの(一度講評済みであることを見落としたなど、同じ講評者が再講評したもの)については、原則として後から行われた講評の点数を有効とし、内容が完全に一致する「機械的理由/ソフトウェア誤動作による重複」の場合は、最後の講評以外を無効削除、内容が異なる(二度講評してしまい、双方の配点が違うなど)場合は、前者は点数のみ削除し、内容はそのまま残して最後の点数を採用、としてあります。 この集計結果で得られた「ボーナス&ペナルティ率(90〜110%)」を、各応募作品で得られた得点の合計点に乗算して、補正値とします。 ※なお、1%に満たないものは端数切り捨てにより、機械集計の上では0%として表示されています。
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では皆様。 遺伝記/2009は、2009年7月1日始動です。 |