Push it !! 著者推薦の結果
傑作選発売に伴い、著者推薦の結果を公開します。
●ザ・ベスト
まずは、全作品から3つ、ザ・ベストを挙げていただきました。
圧倒的だったのが「長市の祭」。以下、傑作選にも収録された作品群が続きます。
傑作選に漏れたものでは、「鬼の棲む場所」「扇子掠め」「猫女」あたりが複数推挙を集めました。
●傑作選に絶対に入れるべき作品
これもザ・ベストと重複するものが多かったようです。
ザ・ベストには入っていないものとして、「小さい人」、「吾亦紅」、「あいのり」、「師匠」、「森の人がやってくる」、「御利益の真相」、「牛娘」などのトリッキーな話がありました。
●ザ・ベスト講評者
ザ・ベスト講評者としては、ユージーン、人刀(hitokatana)、廻転寿司、くりちゃん、せんべい猫……と、詳細かつ丁寧な講評者が多く支持されました。
●来年も遺伝記をやるとしたら
実は来年もやることは確定してしまいました(^^;)
デビュー狙いの野心家揃いによる継続参加が見込めて大変心強いところです。
あまりにもしんどいので、もう誰も来ないんじゃないかと心配していました。
●遺伝記傑作選について
おかげさまで、遺伝記傑作選「恐怖箱 遺伝記」は、竹書房文庫より絶賛発売中です。
●どのくらいの長さが好み?
遺伝記では、「概ね4頁前後」としつつも、特に上限も下限も設けていませんでした。結果的に、数行の作品から「長市の夜」「アンブッシュ」「名殺探訪」のような、短中編小説規模のものまで幅広く登場することになったわけですが、好みを訊ねてみると中くらい(数頁程度)がもっとも多かったようです。
読み物として人気と評価が高かったのは数十頁規模の作品でしたが、数頁程度の話を好みとして挙げた人が多かったのは、企画としての遺伝記は「審査員としては量を読まなければならない」という条件があるためかもしれません。
●好みのジャンルは?
なんというか、「どれもこれも好き」というウワバミ系の方が多かったような……。
それでもやはりというかなんというか、心霊・幽霊譚系が1位でした。これに幻想怪記、心霊落語・バカ話系、祟り・呪い・因果系が続きます。
というか、心霊落語・バカ話系がこんな上位に……。
「堀田春と魔法の杖」「堀田春とあるカバンの修理」「リアルひとり鬼ごっこ」「吾亦紅」「ハトと二挺拳銃とロングコート」などなど、バカ系怪談の多くは決して高得点には至らなかったものの、生暖かい目で慈しまれていたのだなあ、と思われます。
恐怖と笑いは当事者と観察者という紙一重で表裏一体ということかもしれません。
項目にないものとしては、次のようなものがありました。
●あなたが成長を期待する候補は何番?
これは、必ずしも1位に推奨したい候補とはイコールではありません。
「今回は惜しかったけど次は頑張ってほしい」であったり、「もう少し頑張ったら化けるかもしれない」であったりといった、期待値も含まれています。
●候補を推薦する
応募者、読者審査員による著者推薦では、右のような推薦が集まりました。これは最終的なランキングの確定値に非常に近いものになっていますが、1位と2位はの間にはダブルスコアに近い「支持の開き」がありました。
この、著者を推薦する理由を候補ごとに挙げてみたいと思います。
著者推薦は、要するに人気投票であるわけなのですが、シンプルな理由から選んだ人もいれば、悩み抜いた挙げ句に多くの理由を重ねて選んだ人もいます。
人数の多い少ないではなく、自分以外の誰かに選ばれ推されたのだということは、実は著者にとってとても重要でありがたく、そして覚悟を決めないといけないことなのかもしれません。
推奨する理由一覧 |
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027 |
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008 |
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011 |
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016 |
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030 |
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029 |
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007 |
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031 |
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●著者予想
自分としては「こうだ」と思うけど、自分以外の人は「あの人を選ぶだろう」というのを、それぞれに予想していただいています。予想値は推奨値とはあまり一致しないことが多いんですが、自分の好みはスタンダードと一致しているはずだ、という強い意志のある人と、自分の好みはスタンダードではないかもしれない、という人のアンバランスがうまく一致すると、推奨値よりも正解に近い数値が導きだされます。
今回の場合、「自分としては他の候補を推奨するが、自分以外の人は27を推すだろう」と考えた人の数を足して、実際値に合致する予想になったようです。
●遺伝記のご感想、ご要望
最後に、遺伝記/2008へのご感想、ご要望について、企画者の立場から可能な範囲でお答えしてみたいと思います。
ご感想、ご要望を頂戴した方のお名前は公開しませんが、今後のための何らかの参考になれば幸いです。
■ネット上でこのような斬新な試みがなされ、開催中とても楽しませていただきました。 もしできることなら、次回の遺伝記では投稿終了後の講評期間を少しだけ長めに設けていただければ、投稿者も余裕を持って講評を行えるように思います。 また、投稿作品は、読みやすさからすると短めの作品が丁度いいのですが、小説らしい読み応えがある長めの作品をもっと読みたかったです。 しかし、他のアンソロジーには見られない、遺伝記ならではの個性的な作品も見られ、遺伝記がこれから発展していくための原動力が初回にして出てきたのではないかと感じました。
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▼まずはご参加ありがとうございました。 次回の遺伝記は2009年7月開催ですが、やはり今年とほぼ同じ日程で、60日の募集期間+15日となりそうです。超-1は今後は60日+30日体制が定着することになると思われますが、できれば遺伝記もこれに倣う日程で行きたいところです。 遺伝記はその性質上、「必ず、既に公開されている他の作品と繋がること」という絶対条件があるのと、主題は作品募集の2週間前まで伏せられる、というルールがあります。 「好きなようにやってよい。ただし」
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■創作怪談ならばそれこそ「何でもアリ」なのでかなり面白いことになるのではないかと思っていましたが、却って投稿者の世界観や人生観が色濃く表れて読むのが辛くなる作品が多かったです。
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▼投稿者の世界観や人生観が色濃く出るというご指摘に関しては、まったくもってその通りだなと思います。小説というのは、作者の人生観、世界観、善悪の倫理観、そうしたもののポジティブな部分やネガティブな部分が反映されてできあがっていくものなんでしょうね。
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■素直に、面白かったです。
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▼うっw
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■まずは遺伝記という面白い試みに参加出来たことを感謝します。私の作品に講評いただいた方もありがとうございます。
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▼長さの制限については、難しいところです。 余談ですが、「怖い話」の怖い、恐怖の幅広さを見せていただいた気もします。笑いの混じる話の中にも、「少なくとも登場人物は恐怖している」というものが多く見られました。
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■自身の初めての作品が公開された時は何故参加してしまったのかと非常に後悔しました。 読んでくれる方がいてこその作品だと思うので、少しでも自分の書きたいものとニーズを近付ける事ができるようもっと努力していきたいと思います。
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▼わかります。
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■正直とてもしんどかったけど凄く楽しかったです。機会を与えて下さって感謝しています。
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▼来年もあるんです。
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■つかれました〜。 ところで、書いていて思ったのですが、長い話というのはそれ自体が一つの長い話ではなく、それぞれ関連するいくつかの短い話が繋がりあったもの、いうなれば「ひとり遺伝記状態」もしかすると加藤さんは、関連しあった短い話を書かせる事で、長文力をも鍛えようと企んだのではないか? 長い話より短い話の方が有利だと説明してあったのも逆に、長い話を書け〜、と煽っている様に思えましたが、考えすぎでしょうか。 なにはともあれ、疲れましたが楽しかったです。超1・遺伝記のおかげで、書くのが楽しくなってきました。来年もぜひ、挑戦したいですね。関わったすべての人に感謝です。
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▼お疲れ様でした。 もっとも、「短編の名手は長編の名手」とも言いますね。 ひとり遺伝記状態のものについて。いずれ、長い話も書けるようになるには、結局は「短い話の積み重ね」が、遠回りのようでいて王道なんじゃないかなあとは思います。 ふと気付いたらいつの間にか長編も書けるようになっていた! という、素敵な鍛錬法に遺伝記がなってればいいんですがw
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■縛りがきつかったですが、そのおかげか普段でないような発想が湧くことことがあり面白かった。
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▼アイデア・工夫というのは、何らかの制限があるとき、それを越えるために生まれるものだそうで、そうした制限がある条件下で生まれたアイデアは、いろいろ画期的なものであることが多いそうです。 足枷があるからこそ、足枷を外す、活用するアイデアが生まれるのだ、と前向きに考えてみました。
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■初めて物語を書き、初めて第三者に読んでもらい、初めて講評を頂きました。 正直に申し上げますと後半の1ヶ月間は、一体何が怖いという事なのか、怖い話とは何なのか、どうにもわからなくなってしまい迷走していたら期限も過ぎてしまった…と、いった状況で自身の至らなさを痛感させられました。 またこのような機会がありましたら、是非とも挑戦したいと思います。 ありがとうございました。
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▼多くの募集企画の陰に、発表されない、埋もれていく、誰にも読まれず、誰からも批評を受けず、何がいけなかったのか著者にも判らないまま放置されていく作品がいっぱいあるんじゃなかろうかと思います。 「恐怖とは何か」がわからなくなる、について。 迷いもまた、重要な経験です。
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■とっても楽しいイベントでした。書いてる方が楽しくて、読むよりもどんどん書いて参加した方が楽しかったんじゃないかと思います。 今の所、要望ってのは思いつきません。また来年もやって下さいって所でしょうか(笑)。本が出てても出なくても。
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▼縛りのない募集企画は、もっと権威のあるものがたくさんあるので……(^^;) なんというか、後続のレベルをどんどん底上げすることによって、追い上げられているような気持ちでいっぱいになるんですが、自分が作家専業じゃなくて本当によかったと胸をなで下ろしています。
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■超−1のための筆力修行にしようと思って参加させて頂いたのですが、大変、楽しませていただきました。創作の難しさや構成の基本を学べた他、自分のやり易い文章スタイルの発見も出来、得る物は多かったように思います。 でも、物語を考えるのに頭悩ませるの、辛かったけどとても楽しかったです。ドMなのかもしれません。次は快感に変わるくらい、頑張りたいと思います。 さて、この遺伝記。さすがに初開催とだけあって他の皆さんも色々と迷っていたようですが、とりあえず、なんとなくどういったものであるかが解ってきました。きっと、他の皆さんもそうなのでしょう。次回からが本番ですね。
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▼楽しめた、というお言葉に我々も救われます。 とりあえず、遺伝記の意図するところについては「どういうものか」は把握していただけたかなあ、と思っています。 次回テーマも、企画発動の折にギリギリで発表することになります。上位ランカーと条件を平等にするため、というわけではないんですが、遺伝記はアドリブを積み重ねていくもの、準備万端整えてから挑む……のではないもの、と。
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■数を書く意欲が湧く催しで、単純に楽しかった。
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▼8月は学生さんの夏休みの時期でもありますので、若手のための機会を作るということでご承知下さい。いや、実際今のところはそんなに学生さんの応募はないんですけどね(^^;) 超-1が終わった後、夏の怪談本との兼ね合いなどなどもありまして、今のところ恐怖小説の定位置は秋あたりになりそうです。そうすると、どうしてもこの時期の開催になってしまうわけでして、そこのところはご容赦下さい。 |
■今回、携帯から参加しようと思っていたのですが、アクセス制限を設けていた為に加わる事が出来ませんでした。
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▼アクセス制限の件、大変申し訳ありませんでした。
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■色々な意味でとても勉強になりました。 ただ、ルールについていうと、コメント講評の点数の幅を理解していない方が多く、また既に講評された方の内容を見た上で、講評している方がいる事が残念でした。 もう一点言わせて頂きますと、パクリ?という作品が何作かありました。元の作品の良い部分を使用しているので、高評価になるのも判るのですが、創作という舞台で皆さんそれぞれ知恵を絞って参加されている中では水を差す事態になりかねません。そういう部分でこれからも開催されるのであれば審査機関みたいな形が必要かと思われます。 何はともあれ、皆様大変お疲れ様でした。この大会に関わられた方皆様に有難うございますとお礼を述べさせていただきます。
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▼ご指摘ありがとうございます。 パクリについてですが、遺伝記では「外部からのパクリ」は論外としても、遺伝記内部で公開された作品の設定を引き継ぐことについては、ルールの範囲内としています。 「リライトなのか遺伝元を使用しただけなのか微妙な作品」などについてや、元の作品に依存しすぎている作品などについて、問題がある、または問題があると思う人が多数であれば、それはそのまま講評点数の動向に現れるのではないかと思います。
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■怪奇小説を書いて投稿するのは楽しくて勉強になりましたが、それ以上に講評が面白くてたまらず夢中になったことに自分でも驚いています。
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▼自分にあるはずがないと思っていた才能が、意外なことに備わっていた、という。 来年もあります。
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■間に合わなかったのでこれは参考意見ですか。
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▼長い作品も、遺伝記の条件に合えば応募可能ですよ。 ただ、やはり遺伝記のルール、開催期間で長い話を書くのは至難の業なのかもしれません。
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■とにかく楽しみました!!ありがとうございました。 ただ、もう少し手を動かせばよかったと後悔しています。もし来年も実施されるようであれば、今度はもっと最初からエンジン全開で参加する所存です。その際にはまたよろしくお願い申し上げます!
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▼お楽しみいただきありがとうございました。 今年と同じ傾向だとすると、来年も最初の月は作品が多く、後半になるほど出品が減っていく、ということになるのかも?
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■楽しめました。勉強になりました。苦しみました。喜怒哀楽を繰り返す日々でした。
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▼苦しいと楽しいは、恐らく「恐怖と笑い」と同様、表裏一体のものかもしれません。 来年もあります。是非お待ちしています。
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■この遺伝記で求められたのは創作怪談・恐怖小説ということで、超-1とは違う頭に燃料補給するのに若干手間取ったりしました。
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▼企画進行には超-1とよく似たシステムを使ってはいますが、そこで求められていることはまったく別物といったところでしょうか。 が、創作怪談は小説=作り話であるが故に、実話怪談ではできないことをやっても許されるわけで、その違いを究めることで改めて実話怪談でやって許されることが、再確認できたりするのかもしれません。人生無駄なしです。
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■今回は中途半端な参加になってしまい申し訳ありませんでした。
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▼ご意見ありがとうございます。 完全自由テーマ制の遺伝記も、いずれ機会があれば試してみたいように思いますが、恐らく「作品群としての一体感」を維持するのが非常に難しくなるだろうなと思っています。 今回、「木」をテーマとしましたが、企画全体としては木を見て森を見ずに陥らぬよう、心がけていきたいと思います。
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■正直に申し上げると、今回は「優勝者なし」だと思います。読める話もいくつかあるのですが、どれもが決定打に欠ける、どこかにアラがある印象です。(もちろん自作も含めてです) また、講評の少なさとコンプリート率の低さが気になります。個人的な理想としては、講評者の数が投稿者の倍以上有る状況(=講評のみの方が多い状況)が健全克つ望ましい状況ではないかと思います。 その為には、こういう大会がある事をより広く喧伝する必要があるのではないでしょうか。 超-1も含めて、徐々に大会の規模が縮小している気がします。
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▼ご意見ありがとうございます。 まず遺伝記の雛形となる企画案そのものは以前から存在していたのですが、その企画案の実現・遂行が確定してから開催までの期間が非常に短く、十分な告知期間を用意できなかったのです。 講評コンプリート率の低さについて言えば、「ペナルティと引き替えに講評をパスする」ことを許可していることに起因しているだろうと思います。完全義務性にすることで参加のハードルを上げるか、ペナルティと引き替えに講評を放棄して執筆に専念できるようハードルを下げるか、という選択肢があったわけですが、今回は参加のハードルを下げるためにB&P制を導入、その副作用として講評コンプリートできた人数が少なくなったのでは、とも思います。 情報の流布についてですが、今回の傑作選が「驚くほど売れる」ということになれば、多くのバックアップも得られるようになると思いますが、現時点では企画そのものにそれほどの実績があるわけではありません。(傑作選発売前に第二回開催が確定できただけでも驚くべき状態です) 次回開催についても、発売中の傑作選の中に入れられればよかったのでしょうけれども、今回はそれが間に合いませんでしたので、次回開催については文庫で興味を持っていただけた方々のWebへの流入と参加を待つ、ということになるかと思います。 なお、遺伝記開催については、企画者blogと恐怖箱新刊情報メールでも告知されていました。新刊情報メールでは、速報的な情報を多く流しておりますので、是非ご活用下さい。 超-1の規模についてですが、期間で言うと初回が3カ月、2年目が4カ月、3年目が2カ月と期間が圧縮されているのには理由があります。 人材・人手・刊行機会・出版社の支援は無尽蔵ではありませんし、そのいずれもが、実績を積み重ね時間をやりくりしていくことでしか、維持していくことができないものではないかとも思っています。 ともあれ、超-1、遺伝記ともに2009年の開催は確定しています。
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■お祭気分での参加は、肩身が狭いような気がしました。が、思惑どうりの反応があると、嬉しいものです。 しかし、他の参加者の皆さんに、ご迷惑を掛けたかもしれません。顰蹙ものでしたか?すみませんでした。
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▼長丁場となった遺伝記ですが、最後までご参加いただきありがとうございました。 一方、誰かと同じでなければいけないというものでもありません。他人と違って結構。 また来年、遺伝記でお待ちしています。
長丁場の大会でしたが、本当にご苦労さまでした! |